さまざまな個性の友人、実務家の先生と数多く出会えたことが、これからの弁護士人生に必ず生きてくると思います。

早川 俊明さん
駒澤大学法科大学院修了

創価大学法学部出身。高校時代から弁護士に憧れを抱き、初歩から知識を積み重ねたいと8年前に駒澤大学法科大学院未修者コースへ。過去2度の失敗を糧に、ラストチャンスで司法試験の合格を見事に勝ち取る。合格した今、苦労してきた経験を生かして後輩たちをサポートしたいと語る。

法曹をめざしたきっかけは?

高校時代から弁護士への憧れがあったので、法学部へ進学しました。そこで何となく勉強して、何となく旧司法試験を受けてはみたものの、やはり全くと言っていいほど歯が立ちませんでした。将来、本格的に弁護士を目指して勉強を始めるのか、夢をあきらめるのかで迷いがあったので、身の振り方を考えようと一旦実家の不動産会社でアルバイトをすることにしたんです。そのとき、私たちに法律の相談をする方がとても多いことに驚きました。弁護士が増えていると言われているにもかかわらず、一般の方は弁護士へのコネクション、アクセスができない、相談するには敷居が高い現状であることを痛感したのです。それに加えて、社会問題化していた消費者金融からの借金で知人が自殺したことにショックを受けました。身近に相談できる人がいれば命を落とさずにすんだかもしれないと思い、それまで漠然と思い描いていた弁護士になりたいという夢が、これらのことをきっかけに、本当に弁護士として人助けをしたいという決意に変わりました。

駒澤大学法科大学院を選んだ理由

「弱い立場の人に寄り添い、社会に貢献できる弁護士を育てる」というこの大学の考え方に共感したこと。それから、世田谷で生まれ育ったこともあり、世田谷の大学で勉強して、この地域に貢献したいという思いがあったこと。それから大学で法律は齧ってみたものの、弁護士を目指すにはどうように勉強したらいいのかわからなかったので、少人数で根気よく教えてもらえる環境があること。この3つが揃っていたことが駒澤大学法科大学院を選ぶ決め手になりました。

学んでみての感想

駒澤大学の大きな魅力は、学生と先生との距離が近いところでしょう。先生は私たちの顔と名前をすぐに覚えてくださいました。授業中でも、学生が積極的に質問できる雰囲気ですし、疑問箇所の説明は本当にわかりやすいものでしたね。また、クラスメイトも同じ目標を持つ仲間という意識が強く、友人同士で教え合うこともよくありました。それから司法試験に合格した先輩方が、私たちの勉強をサポートしてくださったことも心強かったですね。実務家の先生が主催するゼミに参加できたことで、貴重な経験談を聞ける機会もあり、法曹界をイメージすることができたことも、将来のために大きな意味があったと思っています。

法科大学院での勉強について

合格までの勉強のペースは?

大学院時代

授業が基本であるとの考えから、授業に全精力を注ぎ込んでいました。予習と復習を中心に、実務家の先生のゼミに参加していました。週に3日ほど夜勤のバイトもしていましたので、いろいろなことに手を出すより、授業をしっかりものにしていこうとの考えでした。ですので試験対策は3年になってから。過去問に挑戦しても足切り点にも届かないほどで、短答にはかなりの苦手意識がありました。とにかく短答での合格点をクリアしないと論文を採点してもらえないので、試験対策の9割は短答に費やしていましたね。この年の司法試験は残念ながら合格できませんでしたが、短答問題に関しては合格した人たちと同じぐらいの点数は取れました。やはり論文対策を十分にこなせなかったことが勝負の分かれ目だったのでしょう。「試験について知らなすぎた」というのがこの頃の自分でしたね。

修了後

修了後は、引き続き自習室を使わせていただきながら、合格できなかったメンバーで勉強を継続すると決めた人たちとゼミを組んで勉強を続けていきました。ゼミがペースメーカーになってくれたと思います。1回目の失敗から、論文をどうやって書くのかという初歩的なところを勉強し直そうと決め、合格した方に問題の読み方から、どのような内容を書くべきかを一から教えていただきました。おかげで論文の実力はずいぶん高められたと思います。意を決し2回目の試験に臨んだのですが、その挑戦も失敗。やはり絶望感がありましたね。
次の試験は挑戦できる最後です。しっかり準備しようとの思いから、合格するためには何が足りないのかもう一度徹底的に分析してみました。自分が出した結論は、基本の理解が欠落しているということでした。そこからは基本を繰り返し何度も勉強しました。ラストチャンスだけに、後悔だけはしたくなかったので、その年の試験は受け控えました。しっかり準備をして次の試験に臨むことにしたのです。プレッシャーはかなりありましたが、2回司法試験に失敗した経験から、自分の勉強法では歯が立たない、論文が最大の弱点であることを痛感できたこと、自分の実力との距離感がわかったことは、唯一の救いだったと思います。

司法試験のための学修計画

最後の司法試験に挑戦するにあたり、自分の勉強方法がズレていないかを合格者の人に逐一チェックしていただきました。そのチェックをもとに、理論については大学院の先生に、論文については実務家の先生にわかるまで教えていただきました。特に実務家の先生がゼミを開いて最後まで指導してくださったことには、本当に感謝しています。

リフレッシュ方法は?

私は、バイトをしていたので、その分の勉強時間を取り返すために、のんびりできるオフの日を設けず一週間フルに勉強するようにしていました。その代わりに一日の中でホッとできる時間を必ず設けることにしていて、他の人に比べるとリフレッシュにあてる時間は多かったと思います。その時間は、友人と食事したり、自宅でのんびりテレビを観たり。それから ゼミの仲間とおしゃべりすることもありました。結局みんな法律を勉強することが好きなので、法律について話すことで結構ストレス解消できたりしましたね。

モチベーションを保つ秘訣は?

なぜ自分が弁護士を目指すのか。心が折れそうになったときは、いつもそこに立ち返るように心がけていました。とは言っても、落ち続けると、心は折れます。そのときは合格して親に喜んでもらいたいというのがモチベーションになりました。いろいろ支えてもらいましたからね。それからゼミを一緒にやっていた友人のがんばる姿や、落ちたことへの悔しさも、勉強に向かわせるエネルギーになったと思います。

印象に残った(オススメ)授業・科目は?

好きな科目

民事訴訟実務基礎論

柴谷先生が担当されていた「民事訴訟実務基礎論」は印象に残っていますね。先生は元裁判官で、最後までゼミも含めて面倒を見てくださいました。この授業は、実務で実際に法律を適用する場合に、どのように思考していかなければならないかを理解していくもので、法的な論理がストンと腑に落ちたときは本当に感動できます。実務を学ぶ授業ではありましたが、理論に裏付けされた実践的な科目で楽しかったですね。

オススメの科目

経営学

経営学は、試験とは関係ないですが、第一線で活躍されている先生の話は、とても興味深いものがありました。私たちは法律の勉強が中心となるため、どしても視野が狭くなりがちですが、この授業でいろいろな視点を持つ大切さ、面白さを学んだ気がします。

今後の目標

町のお医者さんのように、弱い立場の人に寄り添えるような弁護士になりたいという気持ちは、今も全く変わってないです。就職する法律事務所によってどのようなキャリアが積めるかはわからないですが、弱者のために奮闘している弁護士の元で勉強させていただきたいと考えています。そして最終的に、この生まれ育った世田谷で働くことができたら理想的ですね。

私は合格するまでに時間がかかりましたので、先生や先輩方には大変お世話になりました。後輩にできる限りいろいろなサポートをしてあげることが、お世話になった皆さんへの恩返しになると信じています。特になかなか合格できない人へのサポートは、必ず自分がやらなければならないことの一つですね。

法曹を目指す方へのメッセージ

まず、何のために法律家を目指すのかは、明確なものを定めて、覚悟を決めて勉強してほしいですね。気持ちがブレていてはお金も時間も無駄になってしまいますから。私のように生活に身近な弁護士を目指すなら、駒澤大学法科大学院はお勧めです。少人数で学べること、奨学金など経済面の支援も手厚いこと、先生方が身近であること、先輩方が親身にサポートしてくれることなど、夢を追う者にとって最高の環境が整っていると思いますね。

自分自身、かなり受け身の状態で勉強してしまったと反省していますが、大学には勉強をサポートしてくださる人がたくさんいます。積極的な姿勢で取り組んでいけば必ず成果は得られると思います。

それからロースクールで学ぶメリットとして、大変な時期をともに過ごす仲間や先生との出会いがあります。この出会いが法曹界で働く上でのすばらしい人脈となることでしょう。駒澤大学には、社会人を経験してから入学する方も多いので、いろんな個性の人たちと出会えます。この出会いが人生を豊かにしてくれると確信しています。